それは大正八年頃のこと。
曾祖父が小魚を佃煮にして商いをしたのが鮒与の歴史の始まりでした。
当時は小魚が良く獲れたようで、曾祖父の作る佃煮は皆さまに好評を頂いていたそうです。
少し前まで年配のお客様の中には、この曾祖父の佃煮を覚えていらっしゃる方もおりました。
昭和に入り小魚が不漁になると、鮒与はうなぎと天ぷらを扱う店となります。
そしてうなぎ「鮒与」の名を世間に広めたのは、二代目である祖父でした。
祖父の焼くうなぎの味は評判で、近隣の皆さまに大変御贔屓にして頂きました。
この祖父の元で子供達を含む幾人かが暖簾分けをし独立をします。
現在、鮒与本店の他に「鮒与」の屋号を持つ店があるのはこの為です。
「割き三年、串打ち三年、焼き一生」と言う祖父の志を受け継ぎ、
それぞれが鮒与本店二代目の味を元に、現在も日々精進を重ねています。
そして鮒与本店を継いだのは先代である父でした。
祖父に負けず劣らずの職人気質だった父。
それは父が残した言葉からも窺い知る事が出来ます。
そんな先代の背中を見て育った四代目が現在の店主を任されております。
鮒与本店で使用するうなぎは全て国内産のうなぎです。
鮒与の長い歴史の中で、共に歩んできた信頼できる問屋さんから仕入れています。
国内産のうなぎは外国産に比べ、臭みが少ないのが特徴です。
その日に使用する分だけを割いて串打ちし、蒸し器は銅製の蒸し器を使用。
熱伝導の良い銅製の蒸し器を使用する事でやわらかくふっくらと蒸し上げます。
そして継ぎ足して受け継がれた秘伝のタレをくぐらせながら、炭は紀州備長炭を使用し丁寧に焼き上げます。
きめの細かい良質な紀州備長炭は煙が出ず、うなぎに余分な雑味を残しません。
その為うなぎ本来の香りを損なわず、また香ばしく焼き上げる事が出来るのです。
親子四代に渡って受け継がれてきた鮒与本店のこだわりのうなぎをご賞味下さい。
「ぴあ板橋食本 2014→2015 地元で話題のおいしいお店200軒!」にて、
時代を超えて愛される究極のうなぎとして、当店が紹介されました。
ぜひ、ご一読いただき、ご来店いただきますようお待ちしております。
時代と共にお店も移り代わり、現在の本蓮沼のお店になって四十年と言う時間が過ぎました。
小さいながらもお店を続けて来れたのは、一重に皆様のおかげと感謝しております。
創業から百年を越し、親子四代に渡って引き継がれた意思を胸に、これからも日々精進して行く所存で御座います。
今後とも何卒御贔屓の程よろしくお願い致します。